AGAがある方、ない方の違いについて、遺伝子レベルでの解明が進んでいます。遺伝子発現解析技術(DNAアレイ解析装置)を用いた調査では、遺伝子1185種中106種の遺伝子に発現量の違いがあることが分かっています。AGAの進行した人では、特にBMP(Bone Morphogenetic Protein)とエフリン(ephrin)というたんぱく質をつくる遺伝子の働きが弱くなっており 、(BMPは通常の4%、エフリンは1%まで低下する)これらの遺伝子が作るたんぱく質を毛母細胞のモデル培養系に添加してみたところ、細胞の増殖が促進されたことから、 BMPとエフリンがAGAに関わる「発毛促進シグナル」であると考えられております。一方で脱毛を促進する「TGF−β」(transforming growth factor-β)や「NT−4」(neurotrophin:NT)の増加によりヘアサイクルを休止期に誘導する「脱毛シグナル」があると考えられております。このように遺伝子レベルでの発毛メカニズムは解明され、昨今では髪の成長に関わる成長因子に焦点を絞った育毛剤が開発されております。
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